ペロブスカイト酸化物
ABO3型酸化物でも、陽イオンAの大きさが、酸素イオンと同じくらいまで大きくなると、ペロブスカイト型構造を取るようになります。この構造は、Aイオンと酸素イオンで、立方最密充填の配列をとり、酸素イオンのみに囲まれた6配位席を小さいBイオンが占有しています。ペロブスカイト型構造は、その構造要素にいくつかの多様性を持っているため、酸素欠陥や層状構造を介して容易に不定比化合物となる可能性を持ち合せていて、種々の機能特性を有する材料設計には非常に好都合です。したがって、ペロブスカイト型構造を持つ化合物の構造と物性に関する研究は、今後も大きな発展が期待できます。
出典:日本金属学会会報第26巻第8号(1987) 771