GPF触媒
欧州「Euro6」・中国「国6」・米国「LEVⅢ」規制への対応に要求されるガソリン・パティキュレート・フィルター(GPF)。キャタラーでは、GPFに三元触媒を塗布することで、有害な排気物質である炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)を浄化し、粒子状物質(PM)※の排出を抑制する高度な後処理技術を開発しています。
※Particulate Matter (パティキュレート・マター)
ススなどのミクロン単位の個体や液体の微小粒子状物質。
年々強化される排出ガス規制
従来、直噴ガソリン車のエンジンから排出されるPMは「排出質量」で規制されてきました。しかし、排出質量の規制では、人体に侵入しやすく健康への影響が懸念されている超微小粒子が数値に反映されにくいため、「排出個数」で粒子を規制する「PN※規制」が導入されました。
※Particulate Number (パーティキュレート・ナンバー)規制
非常に細かいPMの数を数えて基準値以内に抑えるもの。これまでは、排出されるPMの重さが基準値以内であることが求められていました。一方、粒子の排出量を重さではなく個数で測るのがPN規制です。
PN規制に対応するためにはPMの質量規制と異なり、微小な粒子状物質の排出個数を抑えなければなりません。
直噴ガソリン車の後処理装置として期待されているのが、エンジンから排気される微粒子の捕集機能を持つガソリン・パティキュレート・フィルター(GPF ※)です。
GPF (Gasoline Particulate Filter / ガソリン・パーティキュレート・フィルター)
直噴ガソリンエンジンから排出されるPMを除去するセラミックフィルター。片側または反対側が交互に閉じたチャネルの構造で、排気管に組み込まれています。エンジンから排気されるガスが、多孔性壁(ウォール)を通過すると、PMなどの有害成分がそれらの表面に堆積します。
三元触媒の浄化機能を
付与したGPF
しかし、GPFを追加すると、その分だけ必要な搭載スペースが増え、コストも上昇してしまいます。そこで、当社が開発を進めているのが、GPFに三元触媒の浄化機能を付与した「GPF触媒」です。直噴ガソリン乗用車の“エンジン直下”や“床下”に搭載されている三元触媒と置き換えられるGPF触媒を提供することで、GPFを単純に追加するよりも搭載スペースを縮小でき、コスト減にもつながります。
GPFを搭載した後処理システムイメージ
※TWC:Three Way Catalyst (三元触媒)
GPF触媒イメージ
GPF触媒には低圧損タイプ、高捕集タイプの2つのタイプがあります。
どちらの触媒塗布(コート)方法でも各国のパティキュレート規制値を超えないようにコートすることができます。低圧損タイプは圧力損失の上昇を抑えることでエンジン出力向上に寄与し、高捕集タイプではPN捕集率を高めることが可能です。
低圧損タイプと高捕集タイプの違い
- 圧力損失の比較
- PN補集率の比較
キャタラーは創業以来培ってきた三元触媒の技術とコート技術を組み合わせ、顧客ニーズに合わせて最適なGPF触媒を提案していきます。また、今後ますます強化される排出ガス規制(Euro7、国7など)に備え、GPF触媒のラインナップを充実させていきます。