「デミング賞」
「デミング賞大賞」
受賞までの歩み
将来にわたりお客様に喜んでいただける製品を提供し続けるため、キャタラーは20年以上前から、総合的品質経営(Total Quality Management:TQM)に取り組んでいます。常に進化している、キャタラーのTQM活動の足跡をたどります。
総合的品質経営(Total Quality Management:TQM)とは?
TQMは経営管理手法の一種です。Total Quality Managementの頭文字を取ったもので、日本語では「総合的品質管理」と言われていますTQMとは企業活動における「品質」全般に対し、その維持・向上を図っていくための考え方・取り組み・手法・しくみ・方法論などの集合体であり、全社的あるいは全部門的な質的向上を目指すと同時に、組織におけるあらゆる業務を総合的に向上させることにつながります。キャタラーでは、TQMを総合的品質経営とし、「お客様第一」「絶え間無い改善」「全員参加」の基本原則に基づき、製造部門に限らず、事技・間接部門も含めた全社で改善活動を実践しています。
TQM活動の経緯
キャタラーは、1997年~2004年までを“フェーズⅠ=TQM導入期”、2005年~2012年までを“フェーズⅡ=TQM強化期”と位置付け、TQM活動を推進してきました。2012年から“フェーズⅢ=TQM革新期”に移行。さらに“2016年~2022年現在=TQM飛躍期”とし、活動を継続しています。
1997年からのフェーズⅠでは、ISO9001認証取得を機に、TQMを導入し、主に製造品質の改善に取り組み、納入不良の低減を図りました。
2005年からのフェーズⅡでは、ISO/TS16949認証取得を機にTQMのしくみづくりを強化しました。マイルストーン(※)管理を導入し、設計品質の向上と、ZECTと呼ぶ、貴金属量のバラツキを極限まで抑えた装置を開発しました。フェーズⅡまでの取り組みの成果として、リコールなどの重要品質問題:ゼロ、エンドユーザーからの市場クレーム:ゼロ、客先工場への納入不良:ゼロを継続して達成し、各自動車メーカーから、連続して品質優秀賞をいただき現在も継続中です。
2012年からはフェーズⅢとして 、C-QICによる未然防止・再発防止活動をキックオフし、品質経営にフォーカスした改革に着手しました。また、持続的成功に向けた最新の日本式品質経営の指針であるJIS Q 9005をベースにした新しい品質マネジメントシステム(QMS)を導入し、C-QICの考え方で改善サイクルを継続的に回し、QMSを強化しました。この結果、2015年、2018年にそれぞれデミング賞・デミング賞大賞を受賞しました。
2022年現在は、フェーズⅣ:TQM飛躍期として、100年に一度の大変革期を乗り越えるためのTQM活動をグローバルに展開しています。
※マイルストーン
プロジェクトを完遂するために重要な中間目標地点のこと。
マイルストーンはあくまでスケジュールの一部で、マイルストーンは、スケジュール表の中における「工程ごとの期限(区切り)ポイント」を指します。
※WISDOM(スタッフ作業要領書:Work Instruction Sheet for Divisional Operation Management)
キャタラーには2種類の作業標準があり、主に製造現場で用いる作業要領書のほかに、事務部門の作業も独自のフォーマット(WISDOM)を用いて標準化を行っています。
TQM活動年表
(2014~2018年)
2014~2015年(デミング賞への挑戦~デミング賞受賞まで)
2014年
- 真のグローバル企業への第一歩
- 排出ガス浄化触媒の国内市場が飽和する中、キャタラーは真のグローバル企業への飛躍を求められていました。海外の顧客を獲得するためには、品質管理の向上=TQM活動が不可欠でした。
その第一歩になったのが「TQM推進会議」。役員と部課長職の社員が集まり、デミング賞への挑戦を通じて、国際競争力を得るための取り組みが始まりました。
- TQMの専門家による指導スタート
- キャタラーのTQM活動は、デミング賞・デミング賞大賞受賞まで、飯塚悦功(いいづかよしのり)東京大学名誉教授からご指導を受けました。デミング賞受賞までの約1年半とデミング賞大賞受賞までの約3年間にわたりお力添えいただきました。
- 高い評価を受けてデミング賞受審決定
- 約半年間におよぶTQM活動を経て、デミング賞委員会(日本科学技術連盟)の3人の著名な先生方によるTQM診断を受けました。その結果、「優れた点が多く楽しみな企業」という評価を得て、2015年のデミング賞受審が決定。本審査に向け、方針展開の整合性や人財育成といった課題の克服に取り組むことになりました。
2015年
- TQM活動の見える化・情報共有化開始
- 10月のデミング賞本審査受審に向けて、デミング賞ルーム活動(大部屋活動)がスタート。
意思決定の迅速化、課題の早期解決、組織の壁の破壊を目的に、毎月2回実施しました。デミング賞受賞のためには、全社一丸となって全ての仕事の質を高めていく必要があり、ルーム活動もその一環として行われたものでした。
- 受賞決定~新たなスタート
- デミング賞受賞が決定。「品質のキャタラー」として名実ともに一流の品質企業に仲間入りしました。一般的に3年かかるといわれる受賞を、1年半という短期間で実現。この受賞をデミング賞大賞に向けた新たなスタートととらえ、継続したTQM活動を推進し続けました。
- キャタラー関係者50人が授賞式に出席
- 東京の経団連会館で開催されたデミング賞受賞報告講演会と授賞式に、キャタラー関係者50人が出席しました。代表取締役の砂川は、同講演会でキャタラーの会社概要や経営戦略、TQM実施状況などについて詳細に説明。授賞式では「ようやくスタート地点に立った。先生方に教えていただいたTQMを確実に推進したい」と抱負を語りました。
デミング賞授賞記念式にて
2016~2018年(デミング賞受賞~デミング賞大賞受賞まで)
2016年
- TQM活動のさらなる進化・深化を目指す
- TQM活動のより一層の進化・深化を図り、2018年にデミング賞大賞に挑戦することが決定しました。部課長職以上の社員を集めてミーティングを実施。トップメッセージをはじめ、飯塚悦功東京大学名誉教授のご講演、激励の言葉などを受けて、新たな決意で臨むことを確認しました。
- 重要プロセスの手順書を策定・整備
- デミング賞大賞挑戦の過程で、品質マネジメントシステム(Quality Management System:QMS)における重要プロセスについては、プロセスフローや管理項目・基準を明確にしたOP(Operation Procedure)(※)を策定しました。手順書の整備により、管理体系の見える化と前後工程との関わりが明確になり、PDCAサイクルを効率よく回すことができるようになりました。
- OP(Operation Procedure)
- 顧客要求に対し、社内関連部署が実施すべき事項と実施時期を明確にしたものです。
- グローバル ビジョン 2025 策定
- スローガンを躍動・躍進・飛躍とし、共通する『躍』をシンボルとした長期ビジョン:グローバル ビジョン 2025がスタート。ありたい姿・目指すべき姿を5つの漢字『勝・創・瞬・絆・輝』で表現し、TQMの考え方を用いながら重点活動やプロジェクトを展開しました。また、ビジョン策定とともに方針体系を明確にして、ビジョン実現の道筋を明確にしました。
2017年
- 2度目のTQM診断を受診
- デミング賞大賞の受審を目的にしたTQM診断を受診しました。
- (1)顧客の期待に応える技術開発力と管理能力
- (2)事務・技術職場の標準化活動
- (3)事業リスク評価によるBCMの徹底
- ARK竣工『創』の拠点で積極的なTQM活動を展開
- デミング賞大賞受審にあたっては、2017年に竣工した研究開発拠点(キャタラー アーク・クリエイション・センター:ARK)も審査対象となりました。ARKでは、原発リスクへの対応とともに、グローバル競争を『勝』抜く、『創』の拠点として、TQM活動を積極的に実施しました。特に、勝利の方程式(過去の成功体験を振り返り体系化した営業OP)を活用した営業と技術の連携、開発OPを活用した源流からの品質管理活動の強化を実施しました。
2018年
- デミング賞大賞受審用の実情説明書完成
- 2015年のデミング賞受審時の残課題や、ビジョン2025の実現、中長期経営目標達成に向けた新たな取り組みをまとめた実情説明書が完成しました。実情説明書作成にあたっては、砂川社長自らが赤ペンを執り、何度も修正を加えてキャタラーのTQM活動の集大成とし、来たるべき本審査を迎えることとなりました。
- デミング賞大賞本審査受審
- 役員・従業員を総動員して、デミング賞大賞本審査を受審しました。砂川社長からは、「失うものは何もない。元気よく頑張ろう!」と号令がありました。事前のリハーサルの成果や関係者の熱意が伝わり、本社・ARKともに、キャタラーの活動を存分にアピールすることができました。審査を担当いただいた先生も驚かれるほどの出来栄えでした。
- デミング賞大賞受賞
- 2015年から全員参加でTQM活動を実施した結果、デミング賞大賞を受賞することができました。
経団連会館で行われた授賞式には、デミング賞の時と同じように、関係者50人が出席し、受賞の喜びを共有しました。授賞式で砂川社長は、「汗を流した仲間とともに心から喜びたい。まだまだ発展途上であり、今後も減速することなく、TQM活動を継続したい」と述べました。デミング賞大賞授賞記念式にて
2019年
- キャタラーのTQM活動は新たなステージへ
- キャタラー本社で培ったTQMの基盤を海外へ水平展開し、グループ一丸となって顧客価値の最大化と組織能力の向上を目指しています。グループへの展開は3つのステップで推進中です。STEP1では、まずは本社がデミング賞へ挑戦する過程で得たノウハウを水平展開し、品質経営の土台作りを行います。次にSTEP2として、ローカルメンバーが現地の環境変化を捉え、将来のありたい姿を設定し、その達成に向けて発展させるフェーズです。STEP3はローカルのキーパーソンを中心に、本社と連動しながらも自立化を目指すためにデミング賞を活用するフェーズであり、2022年現在、複数の海外拠点がデミング賞にチャレンジしています。
QMSでは品質目標や組織の方針を定め、顧客の要求する製品、サービスを達成するために必要な状態を整え、「顧客に満足してもらうこと(=顧客満足)」を目指します。