Exhibition 2016
ガソリン車用触媒技術
NSR Catalyst
Exhibition 2016
二酸化炭素(CO2)は、地球温暖化の原因とされる温室効果ガスのひとつとされています。自動車の排出ガスの中には、大量のCO2 が含まれており、排出量を削減するためには、燃費の向上が必要です。(図2:1km 走行でのCO2 排出量の計算式)よって、CO2排出の削減を目的と燃費規制は、2000年ごろより、日米欧だけでなく新興国でも強化の動きが進んでいます。(図1:欧州のCO2 規制)
近年、各国の規制に対し、自動車の燃費向上技術の一つとして、酸素過剰雰囲気で燃焼するエンジン(リーンバーンエンジン)が再検討されています。本エンジンは、1990年代前半から、燃費の抑制を目的として多くの車に搭載されていました。しかし、酸素過多の状態で燃焼させるため、ディーゼルエンジンと同様に、窒素酸化物(NOx) が発生してしまいます。
そのため、排出ガス規制の強化に伴い、2000 年代以降に販売された車には、ほぼ搭載されておりません。
このように、「CO2」と「NOx」の規制強化の中、当社では、“NOx 吸蔵機能を持つ物質”と“触媒機能を持つ貴金属”を、最適な配置にする技術が必要不可欠な技術と捉え、近年、貴金属の近傍に“NOx 吸蔵物質” を、高分散に配置することに成功しました。
この開発により「NOx 吸蔵」と「吸蔵NOx 還元機能の効率化」を可能にし、燃費向上とNOx 浄化を両立しました。
NSR(NOx ストレージ・リダクション=吸蔵還元)触媒は、希薄燃焼排ガス中のNOx(窒素酸化物) を効率よく窒素まで還元し浄化できる技術です。
希薄燃焼時に、エンジンから排出されるNOx を、貴金属経由で吸蔵物質に溜め込み、極短時間の燃料リッチ燃焼(リッチスパイク)時に、エンジンから供給される一酸化炭素(CO)、水素分子(H2)、炭化水素(HC)を還元剤として、窒素ガス(N2)まで還元することにより、NOxを浄化します。主に、燃費の良いディーゼルエンジンや、ガソリンリーンバーンエンジンに採用されています。
自動車の燃費向上とともにクリーンな排気ガスが要求される現在、NSR 触媒には更なる性能向上が求められています。
排気ガス中に含まれる窒素酸化物成分(NO)を、貴金属上で酸化し、「NOx」として吸蔵物質に一時的に蓄えます。(左図:NOx吸蔵)
定期的に還元成分(燃料過剰運転)が添加されると、吸蔵物質上のNOxは脱離し、次に貴金属上で還元浄化されます。(右図:吸蔵NOx還元)
より多くの「NOx」を吸蔵し、速い速度で効率良く還元する事を繰り返すことでリーン燃焼エンジンでも「NOx」を浄化を実現しています。
貴金属の触媒機能と吸蔵物質のNOx吸蔵機能を最大限に発揮させるため独自の担持技術を開発しました。この技術により、吸蔵物質を貴金属の近傍に高分散に配置させることを実現しました。この配置技術では、吸蔵されたNOxを、貴金属に効率良く引き渡すことが可能となり、触媒全体の”吸蔵還元反応効率の向上”を実現しました。