Exhibition 2017
ディーゼル車用触媒技術
SCR-Filter System
Exhibition 2017
乗用車の排ガス規制『ユーロ6』で、約6割に大幅に削減が定められた窒素酸化物(NOx)排出基準をクリアするために、ディーゼル微粒子フィルター(DPF)に触媒配置を最適化し、SCR 反応率を向上させました。
2014年4月、ロンドンに『白いスモッグ』が覆い、英国の環境・食糧・農村地域省は、一部の地域に大気汚染最高レベル『非常に高い』と警告をし、パリでは、政府が『大気汚染警報』を発令しました。これらの原因のひとつは、2000年代に燃費の良いディーゼルエンジン車の人気が高まったこと。新規登録台数に占めるディーゼル車の割合は5割を越え、フランスでは6割を越えています。
しかし、欧州ではガソリン車に比べディーゼル車の排ガス規制は遅れていました。欧州では、70年代から環境規制がはじまって以降、順次厳しい基準を制定してきたが、大気汚染は想定したほど改善されず、さらなる規制強化策として2014年9月に排出ガス規制『ユーロ6』が発行されました。
ディーゼルエンジン車において、欧州を中心に世界的に厳しくなる窒素酸化物(NOx)の排出規制に対し、SCR触媒(※)の技術開発が求められています。
当社では、『ディーゼル微粒子フィルター(DPF)』の通気抵抗を増大させることなく、ウォッシュコートする技術を確立し、NOxを浄化するSCR触媒とDPFを一体化させた排出ガス浄化システム『SCR-Filterシステム』の開発をしました。
このSCR-Filterシステムは、排出ガスの後処理装置をエンジンにより近づけることができ、排出ガスをより温度の高い状態で流入させることができることに加え、小型化による熱容量の削減が可能になります。
また、エンジン始動直後の排出ガスが、低温とされる運転領域において、早い段階から触媒の活性化を実現します。
SCR触媒は、窒素酸化物(NOx)を触媒により窒素分子(N₂)と水(H₂O)に転換します。尿素が排気ガスに加えられ、分解して生成したアンモニア(NH₃)が触媒上に吸収します。
ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)に、ウォッシュコートすることで、
粒子状物質(PM)と窒素酸化物(NOx)を同時に浄化することができます。
DPFの構造体で、煤(すす)をトラップし、ガスのみがDPFウォールを通過します。
DPFウォールに塗布したウォッシュコート層(ゼオライト)が、通過したガスと接触し、NOxも浄化します。
欧州は、元々馬車道が道路の基本だったため、大都市は別として古い街は道が狭く小型車の方が利便性が有ることや、国によって一人当たりの年間CO2排出量も規制されており、それに準じて過税される為、排出量の少ない小型車が好まれます。
また、前述のとおり、ディーセルエンジン車の登録車が5割以上のため、『ディーゼル×コンパクト』の乗用車がユーザーから求められます。
ディーゼルエンジン車には、煤(すす)浄化の必須システムとして、ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)が搭載されています。
限られた車室空間を有効活用するために『DPF』と『SCR触媒』の機能を一体化し、触媒システムの搭載スペースをコンパクト化したいというニーズも高まっています。